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2025年04月22日

銀行リスケ交渉で絶対に譲れない3つのライン

事業再生

資金繰りが悪化した際に検討される「リスケジュール(リスケ)交渉」。多くの経営者にとって銀行との返済条件の見直し交渉は人生で初めての経験であり、不安と緊張を伴うものです。「どこまで譲歩すべきか」「何を守るべきか」という判断に迷われる方も少なくありません。

私は長年、中小企業の資金繰り改善と債務整理に携わってきましたが、リスケ交渉において「絶対に譲れないライン」があることを幾度となく目の当たりにしてきました。このラインを守れるか否かが、あなたのビジネスの存続と再建の分かれ道となります。

銀行側も開示したくない交渉の裏側、そして経営危機を乗り越えた経営者たちが守り抜いた「絶対に譲れない3つのライン」について、具体的な事例と共に解説します。本記事を読めば、銀行との交渉力が格段に向上し、あなたのビジネスを守りながら再建への道筋が見えてくるでしょう。

1. 【銀行員も教えたくない】リスケ交渉で借り手が絶対に守るべき3つの境界線

経営が苦しくなると銀行からの融資返済が重荷になることがあります。そんな時に検討されるのが「リスケジュール(リスケ)」です。しかし、銀行との交渉は一筋縄ではいきません。交渉の場で絶対に譲れないラインを知っておかなければ、事業の存続すら危うくなるケースも少なくありません。

多くの経営者が陥りがちな失敗は「銀行の言いなりになってしまうこと」です。銀行員は債権回収が目的ですから、あなたの事業継続よりも回収額を優先するのは当然です。この記事では、リスケ交渉において絶対に譲れない3つのラインを解説します。

まず1つ目は「最低限の運転資金は確保すること」です。返済額を減らしても、日々の事業運営に必要な資金が確保できなければ意味がありません。みずほ銀行や三井住友銀行といった大手銀行でも、中小企業の資金繰り実態を完全に理解しているわけではありません。最低3ヶ月分の運転資金は手元に残るプランでなければ合意してはいけません。

2つ目は「個人保証の範囲を明確にすること」です。経営者保証ガイドラインが整備された現在でも、安易に追加担保や連帯保証人を求められるケースが多発しています。日本政策金融公庫のデータによれば、中小企業経営者の約8割が個人保証を提供していますが、その範囲が不明確なまま交渉に臨むと、家族の資産まで失うリスクがあります。

3つ目は「再成長への投資枠を確保すること」です。リスケは単なる延命措置ではなく、経営立て直しの時間稼ぎです。返済だけに集中して新規投資ができなければ、永遠に借金から抜け出せません。成長分野への最低限の投資資金は必ず確保しましょう。

弁護士や税理士、中小企業診断士などの専門家の力を借りることも重要です。東京商工リサーチの調査では、専門家を交えた交渉は成功率が30%以上高いというデータもあります。銀行との力関係を少しでも対等にするために、交渉前に必ず専門家に相談することをお勧めします。

2. 債務整理の専門家が明かす!銀行リスケ交渉で「ここだけは譲らない」3つのポイント

銀行とのリスケジュール(返済条件の見直し)交渉は、企業の存続を左右する重要な局面です。経営が苦しい状況でも、交渉において「絶対に譲れないライン」を明確にしておくことが、企業再生の鍵となります。債務整理に精通した弁護士や専門家が指摘する「絶対に譲れない3つのポイント」をご紹介します。

まず1つ目は「必要最低限の運転資金の確保」です。リスケジュールによって返済負担が軽減されても、日々の事業運営に必要な資金が確保できなければ意味がありません。例えば、従業員の給与支払いや仕入れ代金など、事業継続に不可欠な経費をカバーできる資金は必ず確保するべきです。みずほ銀行の企業再生支援部門の担当者によれば「運転資金が枯渇すれば、どんなに優れた再建計画も絵に描いた餅になる」とのことです。

2つ目は「返済期間と返済額の現実的な設定」です。過度に楽観的な売上予測に基づいた返済計画は、再び返済不能に陥るリスクが高まります。東京商工リサーチの調査によると、一度リスケジュールを行った企業の約4割が再度返済条件の見直しを求めているというデータがあります。事業の実態と将来性を冷静に分析し、確実に履行できる返済計画を立てることが重要です。債務整理に詳しい弁護士法人フロンティア法律事務所の弁護士は「無理な返済計画を飲まされると、結局は自転車操業に陥り、企業の体力を奪う」と警鐘を鳴らしています。

3つ目は「事業の核となる資産・部門の保持」です。銀行側から不採算部門の売却や主要資産の処分を求められることがありますが、将来の成長の種となる事業や資産は極力守るべきです。日本M&Aセンターのアドバイザーによれば「短期的な資金確保のために核となる事業資産を手放すと、再建後の成長力を大きく損なう可能性がある」と指摘しています。

これら3つのポイントを守りつつ交渉に臨むことで、単なる延命措置ではなく、真の企業再生につながるリスケジュールが実現できます。交渉を有利に進めるためには、財務状況の透明な開示と具体的な経営改善計画の提示が欠かせません。また、早い段階で公認会計士や弁護士などの専門家に相談することで、より実効性のある交渉戦略を立てることができるでしょう。

3. 元銀行融資担当が解説:リスケ交渉成功の鍵となる「絶対に譲れないライン」とは

銀行とのリスケジュール(以下、リスケ)交渉において、ただ単に支払い条件の緩和を求めるだけでは成功確率が低下します。元銀行融資担当の経験から言えることは、交渉の場で「絶対に譲れないライン」を明確にしておくことが重要です。ここでは、リスケ交渉を成功させるために守るべき3つの譲れないラインについて解説します。

まず1つ目は「月次の返済額の下限」です。いくら資金繰りが厳しいとはいえ、あまりに低い返済額を提示すると銀行側の信頼を失います。自社の実情を踏まえた上で、「最低でもこの金額なら返済可能」という現実的な数字を示すことが重要です。例えば、現在の返済額が月50万円であれば、30万円程度までの引き下げを目指すなど、根拠を持った提案をしましょう。

2つ目は「金利条件」です。リスケにより返済期間が延長されれば、銀行にとっては貸出期間の長期化によるリスク増大となります。このため、金利引き上げを求められるケースも少なくありません。しかし、現状の業績で対応できる金利の上限を明確にしておかなければ、返済額軽減のメリットが相殺されてしまいます。金融機関の平均的な金利水準や自社の収益状況から許容できる上限金利を事前に計算しておきましょう。

3つ目は「追加担保・保証の範囲」です。リスケ交渉では、追加担保や代表者の個人保証強化を求められることがあります。しかし、事業継続に必要な資産まで担保に出してしまえば、将来の事業発展の芽を摘むことになりかねません。また、経営者個人の生活基盤を脅かす過度な個人保証は避けるべきです。特に、経営者以外の家族の資産や保証については、明確に線引きをしておくことをお勧めします。

これらのラインを守りながらも柔軟性を持つことが交渉では重要です。例えば、みずほ銀行や三井住友銀行などの大手行では、中小企業向けに専門の事業再生支援チームがあり、返済条件見直しについても相談に応じています。ただし、銀行側も審査部や本部の承認を得る必要があるため、交渉の際は「なぜそのラインが必要なのか」を示す事業計画書や資金繰り表を用意しておくことが不可欠です。

最終的に、銀行とのリスケ交渉は対立ではなく協力関係の構築が目的です。譲れないラインを示しつつも、銀行側の立場も理解した上で、WIN-WINの関係を目指しましょう。事前の準備と明確な交渉方針があれば、厳しい状況でも最適な条件を引き出せる可能性が高まります。

【監修者】ブルーリーフパートナーズ
代表取締役 小泉 誉幸

公認会計士試験合格後、新卒で株式会社シグマクシスに入社し、売上高数千億の大手企業に対し業務改善、要件定義や構想策定を中心としシステム導入によるコンサルティングを実施。その後、中堅中小企業の事業再生を主業務としているロングブラックパートナーズ株式会社にて財務DD、事業DD、再生計画の立案、損益改善施策検討に従事。ブルーリーフパートナーズ株式会社設立後は加え税理士法人含む全社の事業推進を実施。
・慶應義塾大学大学院商学研究科修了

事業が厳しいと感じたら、早めの決断が重要です。
最適な再生戦略を一緒に考え、実行に移しましょう。