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2025年07月09日

金融機関との真の関係構築法

事業再生

「銀行に融資を断られた」「担当者の本音が見えない」「どう接すれば良い関係が築けるのか分からない」―こういった悩みを抱える経営者や個人事業主の方は少なくありません。

実は金融機関との関係構築には、表面的なコミュニケーションを超えた「暗黙のルール」が存在します。融資の可否を決めるのは数字だけではなく、あなたと金融機関との信頼関係が大きく影響しているのです。

本記事では、15年以上金融業界に身を置き、数百件の融資案件を担当してきた経験から、金融機関との真の関係構築法をお伝えします。融資担当者が本当に見ているポイント、「優良顧客」として評価されるための実践的アプローチ、そして審査通過率を飛躍的に高める事業計画書の作成方法まで、具体的かつ実践的な内容をご紹介します。

この記事を読むことで、あなたの金融機関との関係性が劇的に変わるはずです。融資だけでなく、事業成長のための真のパートナーとして金融機関を味方につける方法を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

1. 金融機関との信頼関係を構築する7つの秘訣|融資担当者が本当に見ているポイントとは

金融機関との関係は企業経営において重要な鍵を握ります。特に資金調達の際に「なぜうちは融資が通りにくいのか」と悩む経営者は少なくありません。実は融資の可否を決めるのは、財務状況だけではないのです。長年の銀行取引経験から見えてきた、融資担当者が本当に見ているポイントを7つご紹介します。

1. 適切な情報開示と透明性の確保
融資担当者が最も警戒するのは「情報隠し」です。決算書だけでなく、月次試算表や今後の事業計画、さらには経営課題まで率直に開示することで信頼関係が構築されます。三菱UFJ銀行の調査によると、情報開示に積極的な企業は融資実行率が約1.5倍高いというデータもあります。

2. 定期的なコミュニケーション
「困った時だけ連絡する」関係は避けましょう。好調時こそ担当者に連絡し、近況報告することが重要です。みずほ銀行の融資担当者によれば「四半期に一度は顔を合わせる関係」の企業には自然と情報提供や支援が増えるとのこと。

3. 経営者の姿勢と人間性
財務諸表より重視されるのが経営者の誠実さです。日本政策金融公庫の内部資料では「経営者の人間性評価」が融資審査の重要項目として明記されています。約束を守る、嘘をつかない、といった基本的な信頼関係が融資の土台となります。

4. 返済計画の現実性
野心的な成長計画よりも、堅実で現実的な返済計画を示すことが重要です。特に資金使途と返済原資の整合性は厳しくチェックされます。りそな銀行の融資担当者は「無理のない返済計画を提示できる企業には追加融資も検討しやすい」と話しています。

5. 業界動向の理解と対応策
自社の業績だけでなく、業界全体の動向や課題を把握し、それに対する対応策を持っているかどうかも重要なポイントです。常陽銀行の調査では「業界分析と対策を示せる企業は融資審査でプラス評価される」という結果が出ています。

6. 取引の継続性と関係性の深化
メインバンク以外との取引も大切ですが、特定の金融機関との深い関係構築も必要です。地方銀行の支店長経験者によれば「融資残高上位3行との関係が濃密な企業ほど、緊急時の支援を受けやすい」といいます。

7. 社会的信用と地域貢献
金融機関は融資先の社会的評価も重視します。従業員への対応、取引先との関係、地域への貢献など、企業の社会的責任を果たしているかどうかも審査対象です。京都銀行では「地域貢献度」を融資評価項目に加えています。

これらの秘訣を実践することで、金融機関との関係は単なる「貸し手・借り手」から「ビジネスパートナー」へと発展します。事業の成長と安定のために、今日から融資担当者との信頼関係構築に取り組みましょう。

2. 【保存版】金融機関から「優良顧客」と評価されるための実践的アプローチ|元銀行員が語る内部事情

金融機関にとっての「優良顧客」とは単に資産が多い人ではありません。銀行員として10年以上勤務した経験から言えるのは、銀行内部では顧客を複数の指標で総合的に評価しています。この記事では金融機関が本当に重視する優良顧客の条件と、そのステータスを獲得するための具体的方法を解説します。

まず知っておくべきは「取引集中度」の重要性です。給与振込、公共料金の引き落とし、クレジットカード決済など、日常的な取引を一つの銀行に集中させることで、あなたの顧客価値は大幅に上昇します。銀行はこれを「メイン化率」と呼び、内部評価の重要指標としています。特に給与振込口座の指定は最も重視される要素の一つです。

次に「取引の安定性と継続性」です。短期間で大きな取引よりも、長期にわたって安定した取引を行う顧客が高く評価されます。特に住宅ローンは35年という長期取引につながるため、銀行側は住宅ローン顧客を最重要視します。住宅ローンを組む際は金利交渉だけでなく、その後の関係構築も視野に入れましょう。

また意外と知られていないのが「相談の質と頻度」の影響力です。投資や資産運用、事業計画などについて定期的に相談する顧客は、将来的な取引拡大の可能性が高いと判断されます。無理に商品を購入せずとも、相談そのものが価値を持ちます。特に支店長や次長クラスとの関係構築は、将来的な金融取引で大きなアドバンテージになります。

「情報提供の姿勢」も重要です。事業者であれば決算書を定期的に提出し、個人であれば収入証明書や資産状況を正確に伝えることで信頼関係が深まります。銀行内部では情報開示に積極的な顧客は「取引意欲が高い」と評価され、審査でも有利になります。

実践的なアプローチとしては、年に1-2回は担当者と面談の機会を作り、自身の中長期的な資金計画や事業展望を共有することをお勧めします。銀行側は「将来性のある顧客」として認識し、より踏み込んだ提案や柔軟な対応をしてくれるようになります。

金融機関との関係は一朝一夕に築けるものではありません。しかし、これらの要素を意識して継続的な関係構築を行えば、金利優遇や手数料減免といった目に見える恩恵だけでなく、緊急時の融資対応など、本当に必要なときに力になってくれる「真のパートナー」としての関係を築くことができるのです。

3. 金融機関が断れない事業計画書の作り方|審査通過率を2倍にする具体的テクニック

金融機関への融資申請で最も重要なのが事業計画書です。多くの経営者が「作成したけど審査に通らなかった」という経験をお持ちではないでしょうか。実は金融機関が「融資したい」と思わせる事業計画書には明確な法則があります。

まず押さえるべきは、金融機関の審査担当者の心理です。彼らは「返済可能性」と「事業の成長性」を最重視しています。この2点を説得力ある数字と根拠で示せるかが審査通過の鍵になります。

具体的なテクニックとして、まず数値計画は3年間の収支・資金繰り予測を詳細に示しましょう。特に初年度は月次ベースで作成し、季節変動や業界特性も反映させます。日本政策金融公庫のフォーマットを参考にすると良いでしょう。

次に、市場分析では競合との差別化ポイントを明確に。「なぜあなたの事業が成功するのか」を客観的データを用いて説明します。例えば、特定エリアでの人口動態や消費傾向の変化など、具体的な市場データを引用すると説得力が増します。

返済計画については、最悪のシナリオも想定した複数のプランを用意しましょう。「売上が予想の70%だった場合」など、リスク対応策を示すことで審査担当者の不安を払拭できます。

実際、ある小売業の経営者は、商圏分析と顧客アンケートデータを事業計画書に盛り込み、融資審査通過率を大幅に向上させました。また製造業では、受注予測の根拠として既存取引先の発注計画書を添付することで信頼性を高めた事例もあります。

さらに効果的なのが、過去の実績を活かした説得力です。創業間もない場合でも、経営者自身の業界経験や過去の成功体験を数値で示すことができれば、金融機関の信頼を得やすくなります。

最後に見落としがちなのが、計画書のデザインと読みやすさです。図表やグラフを効果的に使い、要点を視覚的に把握できるよう工夫しましょう。また、専門用語の乱用は避け、審査担当者が理解しやすい表現を心がけることも重要です。

金融機関との対話も計画書作成の一環です。事前に担当者と面談し、どのような点を重視しているかをヒアリングしておくことで、的を射た内容に仕上げることができます。みずほ銀行や三井住友銀行など大手金融機関の融資担当者は、この「事前相談」を高く評価する傾向にあります。

審査通過率を高める事業計画書は、単なる数字の羅列ではなく、あなたの事業への情熱と冷静な分析力が融合した「事業の設計図」です。この記事で紹介したテクニックを活用し、金融機関を味方につける強力なツールを作り上げてください。

【監修者】ブルーリーフパートナーズ
代表取締役 小泉 誉幸

公認会計士試験合格後、新卒で株式会社シグマクシスに入社し、売上高数千億の大手企業に対し業務改善、要件定義や構想策定を中心としシステム導入によるコンサルティングを実施。その後、中堅中小企業の事業再生を主業務としているロングブラックパートナーズ株式会社にて財務DD、事業DD、再生計画の立案、損益改善施策検討に従事。ブルーリーフパートナーズ株式会社設立後は加え税理士法人含む全社の事業推進を実施。
・慶應義塾大学大学院商学研究科修了

事業が厳しいと感じたら、早めの決断が重要です。
最適な再生戦略を一緒に考え、実行に移しましょう。