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2025年03月07日

資金繰り改善のために知っておくべき金融商品

事業再生

中小企業や個人事業主にとって、資金繰りの改善は常に頭を悩ませる課題です。特に景気の変動や予期せぬ出費が発生した際には、適切な金融商品の知識が経営の生命線となることもあります。本記事では、資金繰りを改善するために押さえておくべき様々な金融商品について詳しく解説していきます。

短期的な資金調達に役立つ金融商品

1. ビジネスローン

ビジネスローンは、事業資金の調達に特化した融資商品です。審査のスピードが速く、必要な時に素早く資金を調達できるメリットがあります。一般的に、500万円程度までの融資が可能で、担保や保証人が不要なケースも多いのが特徴です。

例えば、日本政策金融公庫の「小規模事業者経営改善資金融資(マル経融資)」は、商工会議所などの経営指導を受けている小規模事業者向けの無担保・無保証人・低金利の融資制度です。最大で2,000万円まで借入可能で、資金繰り改善に大きく貢献します。

2. 当座貸越

当座貸越は、あらかじめ設定された限度額内であれば、必要な時に必要な分だけ借入ができる仕組みです。使った分に対してのみ金利が発生するため、資金繰りの安定化に役立ちます。月末の給与支払いなど、一時的な資金不足の解消に適しています。

三井住友銀行や三菱UFJ銀行などのメガバンクをはじめ、地方銀行でも提供されているサービスですが、審査基準が厳しい場合もあるため、事前の準備が重要です。

3. ファクタリング

ファクタリングは、売掛金を売却することで即座に資金化できるサービスです。融資ではないため、負債として計上されず、財務状況を悪化させることなく資金調達が可能です。特に季節変動のある業種や、大口取引先への納品後の資金繰りに悩む事業者に適しています。

GMOペイメントゲートウェイの「GMO 掛け払い」やラクーンの「Paid」など、オンライン完結型のサービスも増えています。手数料は一般的に1%~5%程度ですが、即日での資金化が可能なため、緊急時の資金調達手段として注目されています。

中長期的な資金調達のための金融商品

4. 事業資金融資

銀行や信用金庫による事業資金融資は、設備投資や長期運転資金の調達に適しています。金利は低めに設定されており、5年、10年といった長期間の返済計画を立てられるのが特徴です。

例えば、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、新たに事業を始める方や事業開始後間もない方を対象とした融資制度で、担保や保証人なしで最大3,000万円までの融資を受けられます。

5. 設備投資向けリース

設備投資向けリースは、高額な機械や設備を一括購入せずに利用できる金融サービスです。初期投資を抑えながら最新設備を導入できるため、資金繰りの改善と業務効率化を同時に実現可能です。

オリックスやリコーリースなど大手リース会社のサービスでは、リース期間終了後に設備を買い取るオプションも用意されているケースが多く、将来的な資産形成も視野に入れた計画が立てられます。

6. 制度融資

地方自治体が実施している制度融資は、地域経済の活性化を目的とした低金利の融資制度です。一般的な銀行融資よりも金利が低く、返済条件も柔軟なケースが多いため、中長期的な資金計画に組み込みやすい特徴があります。

東京都の「中小企業制度融資」や大阪府の「小規模企業サポート資金」など、各自治体によって様々な制度が用意されています。特に創業支援や事業承継、災害対策など特定の目的に対しては優遇措置が設けられていることも多いです。

資金繰り改善のための金融商品選びのポイント

1. 返済負担を考慮した資金調達

どんなに好条件の融資でも、返済計画が立てられなければ資金繰りは悪化します。月々の返済額が売上や利益に対して適切な割合になるよう、慎重に計画を立てることが重要です。

一般的には、月々の返済額が月商の15%を超えないようにすることが推奨されています。また、複数の借入がある場合は、他の融資と統合するなど、借入の整理を行うことも検討すべきです。

2. 金利と手数料の比較

金融商品ごとに金利や手数料の違いがあるため、単に借入額だけでなく、総支払額を考慮する必要があります。

例えば、ファクタリングは即時資金化できるメリットがある一方で、手数料が高めに設定されていることが多いため、必要な金額とコストのバランスを考えることが重要です。

3. 事業計画との整合性

資金調達は事業計画と密接に関係しています。短期的な運転資金の補填なのか、新規事業の立ち上げ資金なのかによって、適切な金融商品は異なります。

例えば、短期的なキャッシュフローの改善であればファクタリングや当座貸越が有効ですが、新規事業への投資であれば長期融資やクラウドファンディングの活用が適しているでしょう。

まとめ

中小企業や個人事業主にとって、資金繰りの改善は経営を安定させるための重要な課題です。本記事で紹介した各種金融商品の特性を理解し、自社の資金繰り改善に役立ててください。

【監修者】ブルーリーフパートナーズ
代表取締役 小泉 誉幸

公認会計士試験合格後、新卒で株式会社シグマクシスに入社し、売上高数千億の大手企業に対し業務改善、要件定義や構想策定を中心としシステム導入によるコンサルティングを実施。その後、中堅中小企業の事業再生を主業務としているロングブラックパートナーズ株式会社にて財務DD、事業DD、再生計画の立案、損益改善施策検討に従事。ブルーリーフパートナーズ株式会社設立後は加え税理士法人含む全社の事業推進を実施。
・慶應義塾大学大学院商学研究科修了

事業が厳しいと感じたら、早めの決断が重要です。
最適な再生戦略を一緒に考え、実行に移しましょう。