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2025年03月24日

私的整理のメリット・デメリットを徹底解説!

事業再生

債務問題に悩んでいる方にとって、私的整理は一つの重要な選択肢です。裁判所を介さずに債権者と直接交渉することで債務を整理する方法ですが、その具体的なメリットとデメリットを理解しておくことが大切です。今回は私的整理について詳しく解説していきます。

私的整理とは何か

私的整理とは、裁判所などの公的機関を通さずに、債務者と債権者が直接交渉して、債務の返済方法や金額について合意する債務整理方法です。主に任意整理、特定調停などが含まれます。

私的整理のメリット

1. 手続きが比較的シンプル

自己破産や民事再生といった法的手続きと比較すると、私的整理は手続きが比較的シンプルです。裁判所への申立てや複雑な書類作成が必要ないため、心理的な負担も軽減されます。

2. 費用が安く済むことが多い

裁判所を通さないため、予納金などの費用がかかりません。弁護士や司法書士に依頼する場合でも、法的整理より費用が安く済むことが多いです。

3. 債権者との関係を維持しやすい

直接交渉によって合意を形成するため、債権者との関係を比較的良好に保ちやすいというメリットがあります。特に事業者の場合、取引先が債権者であることも多く、この点は重要です。

4. 職業制限がない

自己破産のような法的整理では、一部の職業に就けなくなる制限がありますが、私的整理ではそのような制限はありません。医師や弁護士、公認会計士などの資格にも影響しません。

5. 個人情報が公開されない

法的整理の場合、官報に記載されるなど個人情報が公開されることがありますが、私的整理では原則として公開されません。プライバシーを守りたい方にとって大きなメリットです。

私的整理のデメリット

1. 全ての債権者の合意が必要

私的整理は全ての債権者の合意が原則として必要です。一部の債権者が反対すると、交渉が難航したり、整理自体が困難になったりすることがあります。

2. 減額幅に限界がある

一般的に私的整理での債務減額は元金までで、自己破産のように債務を全額免除してもらうことは難しいです。返済能力に応じた整理となります。

3. 対象となる債権に制限がある

税金や学生ローンなど、私的整理の対象とならない債務があります。また、担保付きの債務(住宅ローンなど)も原則として対象外となります。

4. 信用情報機関に記録が残る

私的整理をすると、信用情報機関に情報が登録され、数年間はクレジットカードの作成やローンの利用が難しくなることがあります。

5. 弁護士等に依頼しないと交渉が難航することも

債権者は債務回収のプロであるため、個人で交渉すると不利な条件を飲まされる可能性があります。専門家に依頼すると費用はかかりますが、より有利な条件を引き出せることがあります。

私的整理が向いている人

– 債務総額が比較的少ない人
– 安定した収入があり、一部返済能力がある人
– 資産を手放したくない人
– 職業に制限を受けたくない人
– 信用情報への影響を最小限にしたい人

私的整理の具体的な手続き

1. 債務の全体像を把握する(債権者・債務額の確認)
2. 弁護士や司法書士などに相談(自分で行うことも可能)
3. 受任通知を債権者に送付(弁護士等に依頼した場合)
4. 取引履歴の調査と引き直し計算
5. 債権者との交渉
6. 和解契約の締結
7. 和解契約に基づく返済

まとめ

私的整理は、比較的負担が少なく、職業制限もない債務整理方法です。しかし、全債権者の合意が必要であることや、債務の全額免除が難しいといったデメリットもあります。

自分の状況に最も適した債務整理方法を選ぶためには、法律の専門家に相談することをおすすめします。多くの弁護士事務所や司法書士事務所では無料相談を実施していますので、まずは相談してみることから始めると良いでしょう。

債務問題は早期解決が重要です。一人で悩まず、専門家のアドバイスを受けながら、最適な解決策を見つけましょう。

【監修者】ブルーリーフパートナーズ
代表取締役 小泉 誉幸

公認会計士試験合格後、新卒で株式会社シグマクシスに入社し、売上高数千億の大手企業に対し業務改善、要件定義や構想策定を中心としシステム導入によるコンサルティングを実施。その後、中堅中小企業の事業再生を主業務としているロングブラックパートナーズ株式会社にて財務DD、事業DD、再生計画の立案、損益改善施策検討に従事。ブルーリーフパートナーズ株式会社設立後は加え税理士法人含む全社の事業推進を実施。
・慶應義塾大学大学院商学研究科修了

事業が厳しいと感じたら、早めの決断が重要です。
最適な再生戦略を一緒に考え、実行に移しましょう。