儲かっているのに資金がない…その謎を解く経営術

「儲かっているのに資金がない…その謎を解く経営術」
売上は好調なのに、なぜか銀行口座の残高は増えない…。このような状況に頭を抱えている経営者の方は意外と多いのではないでしょうか。表面上の数字では利益が出ているはずなのに、実際の手元資金が不足している状態は「黒字倒産」のリスクをはらんでいます。特に中小企業においては、この問題が経営の大きな課題となっていることが少なくありません。
本記事では、「売上≠キャッシュ」という経営の基本原則に立ち返りながら、儲かっているはずなのに資金がショートしてしまう原因と、その解決策について詳しく解説していきます。決算書では好業績なのに資金繰りに悩む経営者の方々に、ぜひ参考にしていただきたい内容となっています。
利益と資金の流れを正しく把握し、健全な企業経営を実現するためのヒントを、ぜひこの記事から見つけ出してください。
売上が増えても資金が足りない理由
売上が好調で利益も出ているのに、資金が不足する。この矛盾の背景には、「キャッシュフローの管理不足」や「資金の流れに対する理解の甘さ」が潜んでいます。
たとえば、以下のような状況がよく見られます:
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売上は上がっているが、入金サイトが長い
商品やサービスを提供しても、代金の入金が数か月先であれば、その間は資金が手元に入ってこないため、キャッシュが不足します。 -
在庫が過剰になっている
売上を見越して商品を大量に仕入れたり製造したりすると、その資金は倉庫に眠る在庫となってしまい、現金化までに時間がかかります。 -
設備投資や人材採用で支出が先行している
将来の成長を見込んで投資をした結果、一時的に資金繰りが厳しくなるケースもあります。健全な成長戦略であっても、資金計画が甘ければ経営リスクとなり得ます。
解決のカギは「キャッシュフロー経営」
こうした資金不足を防ぐためには、「損益計算書(PL)」だけでなく、「キャッシュフロー計算書(CF)」を意識した経営が欠かせません。具体的には、以下のようなアクションが重要です:
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売掛金の回収条件を見直す
顧客との契約内容を見直し、可能であれば入金サイトを短くしたり、前受金をもらえるよう交渉する。 -
支払サイトとのバランスを取る
仕入先への支払いと、顧客からの入金のタイミングを調整することで、資金の流れをスムーズに保つ。 -
資金繰り表の作成と運用
1か月、3か月、6か月単位での資金の流れを見える化し、事前に資金ショートのリスクを察知しておく。 -
金融機関との関係構築
万一の資金不足に備えて、信用のある金融機関との関係を築いておくことも大切です。急な融資にも柔軟に対応できる体制が、安心感につながります。
【監修者】ブルーリーフパートナーズ
代表取締役 小泉 誉幸
公認会計士試験合格後、新卒で株式会社シグマクシスに入社し、売上高数千億の大手企業に対し業務改善、要件定義や構想策定を中心としシステム導入によるコンサルティングを実施。その後、中堅中小企業の事業再生を主業務としているロングブラックパートナーズ株式会社にて財務DD、事業DD、再生計画の立案、損益改善施策検討に従事。ブルーリーフパートナーズ株式会社設立後は加え税理士法人含む全社の事業推進を実施。
・慶應義塾大学大学院商学研究科修了