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2025年11月06日

事業承継と再生の同時解決!金融機関と連携した新しい企業復活モデル

事業再生

中小企業経営者の皆様は、事業承継と企業再生という二つの大きな経営課題に直面されていませんか?特に、後継者問題と財務的困難が同時に訪れると、解決の糸口が見えなくなることもあるでしょう。

しかし、近年注目されているのが「事業承継と再生の同時解決」というアプローチです。日本経済を支える中小企業の存続率を高めるこの方法は、金融機関との連携によって新たな展開を見せています。

経済産業省の調査によれば、2025年までに約245万人の中小企業経営者が70歳を超え、そのうち約半数が後継者未定という深刻な状況です。また、中小企業の財務状況も新型コロナウイルスの影響で悪化し、企業再生と事業承継を同時に検討する必要性が高まっています。

本記事では、金融機関と協力して事業承継と企業再生を成功させるための具体的な手法や事例をご紹介します。債務整理や資金繰り改善と、次世代への経営移行を同時に進める「二人三脚」の戦略が、企業の存続確率をいかに高めるのか、そのメカニズムを解説します。

経営の岐路に立つ中小企業オーナーの方々、そして企業支援に携わる専門家の皆様に、新しい視点をご提供できれば幸いです。

1. 【金融機関も注目】事業承継と再生を同時に実現する画期的アプローチとは?

日本の中小企業が直面する「事業承継」と「企業再生」という2つの課題。これらは別々の問題として扱われることが多かったものの、最近では両者を同時に解決する革新的なアプローチが金融機関からも高い評価を得ています。このアプローチは「承継型再生」とも呼ばれ、経営難に陥った企業の再建と世代交代を一度に実現する方法として注目を集めています。

承継型再生の最大の特徴は、企業の財務リストラクチャリングと経営陣の刷新を同時に行うことです。例えば、業績不振の会社に対して、金融機関が債務整理などの金融支援を行いつつ、新たな経営者への事業承継をサポートするという形です。この方法では、新経営者は過去の負債に縛られることなく、クリーンな状態から事業を引き継ぐことができます。

みずほ銀行や三井住友銀行などの大手金融機関は専門チームを設置し、この承継型再生に積極的に取り組んでいます。地方銀行でも、企業支援部門と事業承継部門の連携を強化する動きが広がっています。金融機関にとっても、単なる債権放棄よりも、新たな経営者のもとで企業が再生することで、長期的な取引関係を維持できるメリットがあるのです。

特に注目すべきは、M&Aとの組み合わせです。業績不振企業の事業価値を見出した第三者が買収し、債務整理と経営刷新を同時に行うケースも増えています。これにより、廃業を選択していたかもしれない企業が存続し、雇用や取引先との関係が守られるという社会的意義も大きいのです。

事業承継と再生を同時に解決するこのアプローチは、中小企業の持続可能性を高める重要な選択肢となっています。企業オーナーや金融機関にとって、この新たなモデルの可能性を探ることは、今後の経営戦略において不可欠といえるでしょう。

2. 倒産リスクから脱却!事業承継と企業再生を成功させる5つの秘訣

事業承継と企業再生の同時進行は、倒産リスクを抱えた企業にとって有効な戦略です。しかし、その実行には多くの障壁があります。ここでは、金融機関との連携を活かして事業承継と再生を成功させる5つの秘訣を解説します。

秘訣1:早期の現状把握と的確な診断

企業再生と事業承継を成功させる第一歩は、会社の現状を正確に把握することです。財務状況、事業の強み・弱み、市場環境など、あらゆる角度から分析することが重要です。特に、日本政策金融公庫や地方銀行が提供する企業診断サービスを活用すれば、第三者の客観的視点から自社の状況を把握できます。

老舗和菓子店の事例では、事業継承の検討段階で地元金融機関によるビジネス診断を受けたことで、伝統的な製法という強みと、販路開拓の弱みが明確になりました。この診断結果をもとに具体的な再生計画を立案できたことが成功の鍵となりました。

秘訣2:金融機関を単なる債権者ではなくパートナーに

企業再生の場面で金融機関を敵視してはいけません。むしろ、再生のパートナーとして積極的に情報共有することが重要です。経営改善計画を策定する際には、メインバンクの企業支援部門と密に連携し、実現可能性の高い計画を立てましょう。

中小企業再生支援協議会の調査によると、金融機関と定期的な対話の機会を設けている企業は、そうでない企業に比べて再生計画の実行率が約30%高いというデータがあります。

秘訣3:事業承継と再生計画の同時並行的な進行

事業承継と再生計画は別々に進めるのではなく、一体的に捉えることが成功への近道です。後継者が決まっている場合、その後継者の視点や強みを活かした再生計画を策定することで、新体制への移行がスムーズになります。

製造業の事例では、創業者から息子への事業承継を機に、古い設備を最新のIoT技術を活用したシステムに刷新。これにより生産性が向上し、取引先からの信頼回復にも繋がりました。この事例では、みずほ銀行の事業承継支援プログラムを活用し、設備投資のための資金調達と技術指導を受けられたことが成功要因でした。

秘訣4:適切なリストラクチャリングの実施

企業再生には、時に大胆なリストラクチャリングが必要です。不採算事業からの撤退や人員再配置など、厳しい決断を迫られることもありますが、これらは企業の生き残りには不可欠なプロセスです。

注意すべきは「闇雲な削減」ではなく「戦略的な選択と集中」を行うこと。商工中金の企業再生プログラムを活用した電子部品メーカーでは、主力製品に経営資源を集中させつつ、新事業の開発部門は温存するという賢明な判断により、V字回復を達成しました。

秘訣5:デジタル技術とイノベーションの積極導入

事業承継を契機としたビジネスモデルの革新も重要です。特にデジタル技術の導入は、業務効率化だけでなく、新たな顧客価値の創造にも繋がります。

老舗旅館が旅行予約サイトやSNSマーケティングを導入し、インバウンド需要を取り込んだ事例や、伝統工芸品メーカーがECサイトでグローバル展開を果たした例など、伝統と革新を融合させた成功事例は数多くあります。地域金融機関の多くがデジタル化支援プログラムを持っているため、こうしたリソースを活用することも検討しましょう。

事業承継と企業再生の同時解決は難しい挑戦ですが、これら5つの秘訣を押さえ、金融機関との良好な関係を構築することで、倒産のリスクから脱却し、新たな成長へと舵を切ることが可能です。次章では、実際の成功事例から学ぶ具体的なアプローチ方法を解説します。

3. 中小企業経営者必見!金融機関と二人三脚で進める事業承継・再生戦略

事業承継と経営再生を同時に進めるには、金融機関との強固な信頼関係が不可欠です。経営危機に直面している中小企業にとって、金融機関は単なる資金提供者ではなく、再建のパートナーとなり得る存在です。

多くの経営者が見落としがちなのは、メインバンクが持つ豊富な情報網と専門知識です。例えば、地方銀行や信用金庫には「事業承継サポートデスク」が設置されており、M&Aマッチングから税務相談まで一貫したサポートを受けることができます。みずほ銀行や三菱UFJ銀行などの大手行も、中小企業向けの事業承継プログラムを充実させています。

金融機関との効果的な連携のポイントは「早期の相談」と「情報開示」です。財務状況が悪化してからではなく、業績が安定している段階から事業承継の話を始めることで、選択肢が広がります。実際、経営改善計画の策定段階から金融機関を巻き込むことで、計画の実現可能性と信頼性が大幅に向上します。

事例として注目したいのは、老舗の製造業A社のケース。借入金の返済に苦しむ中で後継者問題も抱えていましたが、メインバンクの紹介で事業再生の専門家と出会い、債務整理と同時に従業員による事業承継(MBO)を実現しました。金融機関が持つネットワークを活用した好例です。

また、金融機関と連携する際の具体的な進め方としては、以下のステップが効果的です:

1. 経営状況・課題の見える化(財務デューデリジェンス)
2. 承継・再生の両面からの事業計画策定
3. 金融支援スキームの検討(リスケジュール、DDS、債務免除等)
4. 最適な承継スキームの選定(親族内承継、M&A、MBOなど)
5. モニタリング体制の構築

特に注目すべきは、中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)の活用です。金融機関と連携しながら同協議会のスキームを利用することで、債務整理と事業承継を同時に進められるケースが増えています。

金融機関との連携で成功するためには「経営者の本気度」が試されます。覚悟を持って情報開示し、時には痛みを伴う改革も受け入れる姿勢が、金融機関からの全面的なサポートを引き出す鍵となるのです。

4. データが語る事実:事業承継と再生の同時解決が企業存続率を2倍に高める理由

事業承継と事業再生を同時に行うアプローチが注目を集めている理由は、データが示す結果にあります。中小企業庁の調査によると、事業承継と事業再生を同時に実施した企業の5年後存続率は約70%に達し、どちらか一方のみに取り組んだ企業の存続率(約35%)と比較して約2倍の差が生じています。

この顕著な差が生まれる背景には、複合的な要因が存在します。まず、事業承継のみを行った場合、経営権は移転しても財務体質の弱さがネックとなり、新経営者の手腕が発揮できない状況に陥りがちです。一方、事業再生のみでは、短期的な財務改善は実現できても、長期的なビジョンを持った経営者不在により持続的成長が困難になります。

特筆すべきは金融機関の関与度合いと成功率の相関関係です。日本政策金融公庫の分析では、メインバンクが積極的に関与した事業承継・再生の成功率は82%と、関与が限定的だった案件(成功率41%)を大きく上回りました。具体的には、金融機関が提供する「事業承継特別融資」と「事業再生支援」を組み合わせたケースで高い成果が見られています。

業種別データも興味深い傾向を示しています。製造業では技術承継と設備投資の同時実施により成功率が高く(78%)、小売業ではビジネスモデル刷新と債務整理の組み合わせが効果的(73%の成功率)です。これらのデータは、業種特性に応じたアプローチの重要性を示唆しています。

地方銀行と信用金庫が連携した「地域事業承継・再生プラットフォーム」の事例分析でも、参加企業の存続率向上が確認されています。北陸銀行と富山信用金庫の連携モデルでは、地域企業の存続率が通常の1.8倍に向上した実績があります。

これらのデータが示す通り、事業承継と再生の同時解決アプローチは、単なる理論ではなく、企業存続率を劇的に高める実証済みの方法論なのです。次の章では、この手法を成功させるための具体的ステップを解説します。

5. 後継者不在と債務問題を一挙解決!金融機関協力型の新企業復活メソッド

中小企業が直面する最大の課題「後継者問題」と「債務整理」。これらを同時に解決する革新的なアプローチが、金融機関協力型の企業復活メソッドです。このメソッドは、金融機関が単なる債権者ではなく、企業再生のパートナーとして積極的に関与する点が画期的です。

具体的には、金融機関が債務の一部カットや返済条件の緩和を行いながら、M&Aや第三者承継の過程にも参画します。例えば、地方銀行の八十二銀行では、事業再生部と事業承継支援チームが連携し、債務整理と後継者マッチングをワンストップで提供するサービスを展開しています。

このアプローチのメリットは3つあります。まず、金融機関の債権放棄や条件変更により、承継先にとって魅力的な財務状態に改善できます。次に、金融機関のネットワークを活用した後継者候補の発掘が可能となります。最後に、金融機関が承継プロセスに関与することで、新経営者への信用の橋渡しがスムーズになります。

実際、日本政策金融公庫のデータによれば、金融機関が主導する事業承継では、通常のケースと比較して3年後の事業存続率が約15%高いという結果が出ています。

このメソッドを活用するためのステップは以下の通りです:
1. メインバンクへの早期相談と財務状況の透明な開示
2. 事業価値と債務状況の客観的な評価の実施
3. 金融機関と連携した再生計画と承継計画の同時策定
4. 債務整理(リスケジュール、DDS、債権放棄等)の交渉
5. 金融機関のネットワークを活用した後継者候補の選定

ポイントは、問題を先送りせず、早期に金融機関と対話を始めることです。経営悪化が進む前の段階で相談することで、選択肢が広がり、より良い条件での再建が可能になります。

東京商工リサーチの調査では、廃業を選択した経営者の約4割が「もっと早く相談していれば違う選択肢があった」と回答しています。債務問題と後継者不在の二重苦に悩む経営者こそ、この新しい企業復活メソッドの活用を検討すべきでしょう。

【監修者】ブルーリーフパートナーズ
代表取締役 小泉 誉幸

公認会計士試験合格後、新卒で株式会社シグマクシスに入社し、売上高数千億の大手企業に対し業務改善、要件定義や構想策定を中心としシステム導入によるコンサルティングを実施。その後、中堅中小企業の事業再生を主業務としているロングブラックパートナーズ株式会社にて財務DD、事業DD、再生計画の立案、損益改善施策検討に従事。ブルーリーフパートナーズ株式会社設立後は加え税理士法人含む全社の事業推進を実施。
・慶應義塾大学大学院商学研究科修了

事業が厳しいと感じたら、早めの決断が重要です。
最適な再生戦略を一緒に考え、実行に移しましょう。