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2025年06月23日

事業再生専門家が明かす 再建計画書の書き方講座

事業再生

経営危機に直面している企業経営者の方、再建計画書の作成に頭を悩ませていませんか?適切な再建計画書は金融機関からの支援継続や新規融資獲得の鍵となりますが、多くの経営者はその重要性や効果的な作成方法を十分に理解していません。

本記事では、400社以上の再生実績を持つ事業再生のプロフェッショナルが、金融機関を納得させる再建計画書の秘訣を包み隠さずお伝えします。銀行融資担当者が実際に評価しているポイントや、倒産寸前から見事に復活した企業の具体的事例を交えながら、再建計画書作成の全プロセスを解説します。

「なぜ自社の再建計画書は受け入れられないのか」「どうすれば金融機関を味方につけられるのか」といった疑問にお答えし、経営危機を乗り越えるための実践的なノウハウをご提供します。この記事を読めば、90%の経営者が陥る致命的な間違いを回避し、金融機関を動かす説得力のある再建計画書を作成できるようになるでしょう。

事業再生の成功を左右する再建計画書。その作成技術を身につけて、企業存続の可能性を大きく広げましょう。

1. 【事業再生のプロが教える】90%の経営者が知らない再建計画書の致命的な間違い

事業再生の現場で目にする最も致命的な間違いは、経営者自身が本気で再建を望んでいないのに形だけの再建計画書を作ることです。金融機関や債権者を納得させる再建計画書には「本気度」が必ず伝わります。机上の空論や希望的観測に基づいた数字の羅列ではなく、現実的な分析と実行可能な施策が求められるのです。

特に見落とされがちな間違いが3つあります。1つ目は「原因分析の甘さ」です。「景気が悪かった」「業界全体の不振」などの外部要因ばかりを挙げる計画書は、金融機関からの信頼を失います。自社の内部要因(経営判断の誤り、組織体制の問題など)にも正直に向き合うことが不可欠です。

2つ目は「数字の根拠不足」です。「売上が前年比120%に回復する」という予測があっても、その具体的な根拠が示されていなければ絵に描いた餅にすぎません。新規顧客獲得策や客単価向上策など、数字を裏付ける具体的な施策とその効果測定方法を明示しましょう。

3つ目は「モニタリング体制の欠如」です。計画を立てても進捗管理の仕組みがなければ、計画と現実のズレを早期に発見できません。月次での予実管理とPDCAサイクルの回し方を明確にすることで、金融機関に対して誠実な姿勢を示せます。

実際に再生に成功した企業の計画書には、経営者の覚悟と実現可能な施策が盛り込まれています。中小企業基盤整備機構や地域の経営革新等支援機関を活用し、専門家の目を通した実効性のある再建計画書を作成することが、事業再生への第一歩となるでしょう。

2. 【銀行が即座に納得】融資担当者が密かに評価する再建計画書の3つの要素

再建計画書を銀行に提出しても、なかなか前向きな返答がもらえないというケースは少なくありません。多くの経営者が頭を悩ませるこの問題、実は銀行の融資担当者は表向きには言わない「評価基準」を持っているのです。私が100社以上の事業再生に携わってきた経験から、融資担当者が本当に評価する再建計画書の3つの要素をお伝えします。

第一に「数字の整合性と根拠の明確さ」です。机上の空論と思われる計画は一瞬で見抜かれます。銀行員は日々様々な事業計画を見ているプロフェッショナルです。「前年比20%売上アップ」などの希望的観測ではなく、「A商品のターゲット顧客を30代女性から40代女性に拡大し、SNS広告を月20万円投入することで新規顧客を月50名獲得、客単価8,000円として月40万円の売上増」といった具体的数値と施策が重要です。売上予測と原価率の関係、人件費の算出根拠なども細部まで一貫性を持たせましょう。

第二に「リスク分析の徹底」です。実は多くの経営者が見落としがちなポイントですが、融資担当者はむしろここを重視しています。計画が順調に進まなかった場合のシナリオB、Cまで用意しているか、業界特有のリスク要因をきちんと認識しているか、それに対する対応策は練られているかなどが評価されます。例えば「主要取引先が倒産した場合の売上影響は20%、その場合は設備投資計画を延期し、人件費を10%削減する具体策がある」といった内容です。これにより「経営者としての危機管理能力」が示されます。

第三に「経営者自身の覚悟と実行力の証明」です。再建計画において最も重要な要素が、実はこの点です。融資担当者は単に計画書の中身だけでなく、それを実行する経営者の姿勢を見ています。役員報酬のカットなど経営者自身の痛みを伴う施策、過去の失敗から学んだ教訓とその活かし方、すでに着手している改善策とその成果(小さくても)などを明示することで信頼性が大きく向上します。実際に、私が支援した企業で役員報酬30%カットと社用車の返却を先行実施していた事例では、銀行の態度が一変しました。

これら3要素を盛り込んだ再建計画書は、融資担当者からの「この経営者なら復活できる」という信頼を勝ち取ることができます。彼らが上司や審査部に対して前向きに説明できる材料を提供することが、資金調達成功への近道なのです。

3. 【実績400社超】事業再生のスペシャリストが伝授する「再建計画書」成功の黄金ルール

事業再生の成否を分ける最重要書類「再建計画書」。金融機関や取引先を納得させる計画書には、いくつかの揺るがない黄金ルールが存在します。私が関わった400社以上の再生事例から導き出した成功の法則をお伝えします。

まず絶対に押さえるべきは「数字の根拠を明確にすること」です。売上予測や経費削減額が現実的で具体的な根拠に基づいていなければ、金融機関は一切信用しません。例えば「前年比10%増」ではなく「A商品のシェア3%拡大(客数×客単価の内訳あり)による4,800万円増加」といった具体性が必要です。

次に重要なのが「短期・中期・長期のマイルストーン設定」です。日本政策金融公庫や地方銀行が評価するのは、3ヶ月、1年、3年といった具体的な時間軸での達成指標です。特に初期3ヶ月の数値は厳しく精査されるため、保守的かつ確実に達成できる数字設定が鍵となります。

三菱UFJ銀行の企業再生部門の元部長も「再建計画で最も見るのは、経営者自身が身を切る覚悟があるかどうか」と語っています。役員報酬の削減、保有資産の売却など、経営者自身の痛みを伴う施策は必須要素です。

また意外と見落とされがちなのが「ビジョンと数字のバランス」です。冷徹な数字だけでなく、再生後の企業の社会的価値や従業員の雇用維持といった側面も盛り込むことで、金融機関の心理的サポートも引き出せます。

私が支援した製造業のケースでは、債務超過5億円の会社が、明確な根拠に基づく再建計画書により、メインバンクから2億円の追加融資と3億円の債務カットを引き出すことに成功しました。計画書は単なる書類ではなく、企業の未来を左右する「説得の武器」なのです。

再建計画書作成で最も避けるべき失敗は「コンサルタント丸投げ」です。経営者自身が数字と向き合い、腹落ちした計画でなければ、実行段階で破綻します。金融機関も経営者の本気度を見抜く目を持っています。

事業再生の道は決して平坦ではありませんが、説得力ある再建計画書が最初の重要なステップとなります。この黄金ルールを押さえた計画書で、企業の再生への扉を開いてください。

4. 【倒産寸前から復活】取引銀行を味方につける再建計画書の作成ステップ

経営危機に陥った企業が再起するための最重要書類が「再建計画書」です。特に取引銀行の支援を取り付けられるかどうかが、事業継続の分かれ道となります。銀行は数字に基づく客観的な判断を行うため、感情的な訴えだけでは融資条件の変更や追加融資を引き出せません。ここでは、金融機関を納得させる再建計画書の作成ステップを解説します。

まず最初に、現状分析を徹底して行いましょう。財務状況の詳細な数値分析はもちろん、業績悪化の根本原因を特定することが重要です。「コロナの影響」「業界の縮小」といった外部要因だけでなく、自社の商品力や営業戦略、組織体制など内部要因にも正直に向き合いましょう。みずほ銀行や三井住友銀行などの金融機関は、経営者が現実を直視しているかを見ています。

次に、具体的かつ実現可能な改善策を提示します。「売上を増やす」「経費を削減する」といった抽象的な表現ではなく、「A商品のラインナップを見直し、利益率の高いB商品へのシフトを図る」「本社事務所の移転により家賃を月額30万円削減」など、具体的な数字と共に示すことが大切です。施策ごとに責任者と期限を明記し、実行力をアピールしましょう。

資金繰り計画は最も重視される部分です。向こう3年間の月次キャッシュフロー予測を作成し、売上・経費の根拠を明確にします。予測は楽観的すぎず、かといって悲観的すぎずの「現実的な」数字設定が鍵です。特に初年度は月次、2年目以降は四半期ごとの詳細な数値計画を立てましょう。日本政策金融公庫などは計画の精度を重視します。

また、金融支援要請の内容は明確に記載します。リスケジュール(返済条件の変更)を希望するなら、具体的な返済額と期間を提案してください。追加融資が必要なら、その使途と返済計画を詳細に説明します。地方銀行や信用金庫は地域経済への貢献度も考慮するため、雇用維持や地域活性化への寄与も強調すると効果的です。

最後に、計画書は経営者自身が説明できる内容にすることが重要です。専門家に丸投げした計画では、銀行担当者の質問に答えられず信頼を失います。会計士や中小企業診断士のサポートを受けつつも、最終的には経営者が全ての内容を理解し、自分の言葉で語れることが再建への第一歩となります。

再建計画書の作成過程は、自社の課題と向き合い、未来を描く貴重な機会です。この作業を通じて経営者自身の再生への覚悟も固まり、それが銀行担当者にも伝わります。計画書は単なる書類ではなく、会社と経営者の本気度を示す重要なコミュニケーションツールなのです。

5. 【経営危機を乗り越えた実例付き】金融機関を動かす再建計画書の具体的な書き方

金融機関を本気で動かす再建計画書には、具体性と実現可能性が不可欠です。これから紹介する実例と書き方のポイントは、実際に経営危機を乗り越えた企業の事例に基づいています。

まず、再建計画書の肝となる「数値計画」では、単なる目標値ではなく、その達成根拠を明示することが重要です。ある中小製造業では、「月商3,000万円達成」という目標だけでなく、「既存顧客からの受注増(1,500万円)」「新規開拓5社からの売上(1,000万円)」「新商品展開による収益(500万円)」と具体的な内訳と、それぞれの施策を記載しました。この計画書により、メインバンクから追加融資を獲得できたのです。

次に、「実行スケジュール」の明確化です。老舗旅館が作成した再建計画では、3年間のマイルストーンを四半期ごとに設定。「初年度第2四半期:客室リノベーション完了」「初年度第3四半期:Web予約システム刷新」など、具体的な時期と達成指標を明記しました。結果、地元金融機関から最大3年間の元金返済猶予を取り付けることに成功しています。

また、「リスク分析と対応策」の記載も欠かせません。自動車部品メーカーの再建計画では、「主要取引先の発注減」「原材料価格高騰」などのリスクを洗い出し、それぞれに対する具体的な対応策を記載。この誠実な姿勢が金融機関の信頼を獲得し、債務リストラクチャリングの合意に至りました。

さらに効果的なのが「実績の可視化」です。月次で進捗状況を金融機関に報告する仕組みを計画書に盛り込むことで、PDCAサイクルを回す姿勢を示します。あるアパレル小売業では、月次の売上・粗利・経費の計画比較表と、改善策を記した報告フォーマットを計画書に添付。この透明性の高い報告体制が評価され、複数の金融機関からの協調融資を実現しました。

計画書作成時の実践的なコツとして、「経営者自身の言葉で語る」ことも重要です。コンサルタントの美しい言葉よりも、経営者の熱意と覚悟が伝わる表現の方が金融機関の心を動かします。ある運送会社の経営者は、自身の給与を半減させる決意とともに、「この会社を必ず立て直し、支えてくれた従業員と取引先に恩返しする」という強い意志を計画書に記載。この誠実さが評価され、金融支援を取り付けました。

事業再生の現場では、緻密な再建計画書が文字通り会社の命運を分けます。形式的な書類ではなく、具体性、実現可能性、誠実さを兼ね備えた計画書を作成することが、金融機関の心を動かす鍵となるのです。

【監修者】ブルーリーフパートナーズ
代表取締役 小泉 誉幸

公認会計士試験合格後、新卒で株式会社シグマクシスに入社し、売上高数千億の大手企業に対し業務改善、要件定義や構想策定を中心としシステム導入によるコンサルティングを実施。その後、中堅中小企業の事業再生を主業務としているロングブラックパートナーズ株式会社にて財務DD、事業DD、再生計画の立案、損益改善施策検討に従事。ブルーリーフパートナーズ株式会社設立後は加え税理士法人含む全社の事業推進を実施。
・慶應義塾大学大学院商学研究科修了

事業が厳しいと感じたら、早めの決断が重要です。
最適な再生戦略を一緒に考え、実行に移しましょう。