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2025年02月28日

事業再生と新しいビジネスモデルの構築法

事業再生

経営危機に直面した企業が、いかにして再生への道を歩むのか。その道筋と具体的な方法論について、実践的な視点から解説していきます。

事業再生において最も重要なのは、現状の正確な把握と分析です。財務状況、市場環境、競合他社との比較、自社の強みと弱み、これらを客観的に評価することから始めなければなりません。特に、キャッシュフローの状況を詳細に分析し、問題点を洗い出すことが不可欠です。

次に着手すべきは、コア事業の見極めです。企業が持つ本質的な強みは何か、市場で競争優位性を持つ分野はどこかを明確にします。不採算部門の整理や事業の選択と集中は、この段階で決断する必要があります。

新しいビジネスモデルの構築では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の活用が鍵となります。従来型の商習慣や業務プロセスを根本から見直し、顧客ニーズに合わせた新しい価値提供の仕組みを作り上げていきます。

具体的な再建策としては、以下の要素が重要です:

1. 資金繰りの改善
– 取引金融機関との関係強化
– 運転資本の最適化
– 不要資産の売却

2. 収益構造の改革
– 固定費の削減
– 原価管理の徹底
– 販売戦略の見直し

3. 組織体制の刷新
– 意思決定プロセスの効率化
– 人材育成システムの構築
– 社内コミュニケーションの活性化

4. イノベーションの推進
– 新技術の導入
– 商品開発プロセスの改善
– 異業種との協業模索

再生計画の実行においては、社内外のステークホルダーとの密接なコミュニケーションが不可欠です。特に従業員との信頼関係構築は、改革を成功に導く重要な要素となります。

また、外部専門家の活用も検討すべきです。公認会計士、税理士、経営コンサルタントなど、各分野の専門家の知見を活用することで、より実効性の高い再生計画を策定できます。

新しいビジネスモデルへの転換では、既存の顧客基盤を活かしながら、新たな収益源の開拓を目指します。例えば、製造業であれば製品販売だけでなく、保守サービスやサブスクリプションモデルの導入を検討するなど、収益構造の多角化が有効です。

事業再生の成功には、経営者の強いリーダーシップと、全社一丸となった取り組みが必要です。短期的な収益改善だけでなく、中長期的な成長戦略を見据えた改革を推進することが、持続可能な企業価値の創造につながります。

最後に重要なのは、PDCAサイクルの確立です。再生計画の進捗を定期的にモニタリングし、必要に応じて軌道修正を行うことで、着実な改革の実現が可能となります。

事業再生は困難な道のりですが、適切な戦略と実行力があれば、必ず道は開けます。危機を成長の機会と捉え、新たな価値創造に挑戦する姿勢が、企業の未来を切り開く原動力となるのです。

【監修者】ブルーリーフパートナーズ
代表取締役 小泉 誉幸

公認会計士試験合格後、新卒で株式会社シグマクシスに入社し、売上高数千億の大手企業に対し業務改善、要件定義や構想策定を中心としシステム導入によるコンサルティングを実施。その後、中堅中小企業の事業再生を主業務としているロングブラックパートナーズ株式会社にて財務DD、事業DD、再生計画の立案、損益改善施策検討に従事。ブルーリーフパートナーズ株式会社設立後は加え税理士法人含む全社の事業推進を実施。
・慶應義塾大学大学院商学研究科修了

事業が厳しいと感じたら、早めの決断が重要です。
最適な再生戦略を一緒に考え、実行に移しましょう。