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2025年03月20日

事業再生の成功事例7選 – 倒産寸前から復活した企業の共通点

事業再生

はじめに

深刻な経営危機から見事に復活を遂げた企業の物語は、多くの経営者にとって希望の光となります。債務超過、売上激減、資金ショートなど、さまざまな理由で倒産の瀬戸際に立たされながらも、再生への道を切り開いた企業には共通する要素があります。本記事では、事業再生の成功事例7選を紹介しながら、その共通点を探っていきます。

事業再生の成功事例7選

1. 日本航空(JAL)- 官民一体の再生計画

2010年に会社更生法の適用を申請したJALは、1兆円を超える負債を抱え、日本の企業倒産史上最大の破綻として話題となりました。しかし、企業再生支援機構(現・地域経済活性化支援機構)の支援のもと、大胆なリストラと事業再構築を実施。不採算路線の廃止、人員削減、機材の効率化などを断行し、わずか2年後には東証再上場を果たしました。

JALの再生成功の鍵は「選択と集中」の徹底と、全社一丸となった意識改革にありました。

2. 石屋製菓 – 危機をバネにした品質管理体制の革新

北海道の銘菓「白い恋人」で知られる石屋製菓は、賞味期限の改ざん問題で経営危機に陥りました。しかし、徹底した品質管理体制の見直しと消費者への誠実な対応により信頼回復に成功。さらに工場を観光スポット化した「白い恋人パーク」の設立など、事業多角化も進め、見事に復活を遂げました。

危機を隠すのではなく、真摯に受け止め、根本的な改革に取り組んだ姿勢が再生の原動力となりました。

3. ホッピービバレッジ – 3代目社長による伝統商品の革新

「ホッピー」という伝統的な飲料を製造するホッピービバレッジは、時代の変化とともに売上が低迷。しかし、3代目となる石渡美奈社長の就任後、マーケティング戦略を大胆に変更し、若者向けのブランドイメージ構築に成功しました。「昭和レトロ」という価値を再定義し、居酒屋文化との結びつきを強化したことで、V字回復を実現しています。

伝統を守りながらも、時代に合わせた革新を行った点が注目されます。

4. タカラトミー – 合併と海外展開による再成長

玩具業界の老舗タカラとトミーは、個別では業績不振に悩んでいましたが、2006年の合併により経営資源を統合。その後、海外企業の買収を積極的に進め、グローバル展開を加速させました。「トランスフォーマー」や「リカちゃん」といった定番商品の価値を維持しながら、新たな市場開拓に成功した事例です。

業界再編と国際化戦略が再生の柱となりました。

5. コシダカホールディングス – カラオケから総合エンターテイメントへ

カラオケ「まねきねこ」を運営するコシダカホールディングスは、カラオケ業界の競争激化と市場縮小に直面していましたが、「カーブス」というフィットネス事業への参入によって事業の多角化を実現。異業種への展開により、経営基盤を安定させることに成功しました。

既存事業のノウハウを活かしつつ、新たな分野に踏み出す勇気が再生のポイントでした。

6. ユニバーサル園芸社 – ニッチ市場での専門性強化

観葉植物のレンタル・メンテナンス事業を手がけるユニバーサル園芸社は、バブル崩壊後の企業経費削減の波を受けて経営危機に陥りました。しかし、環境意識の高まりを背景に「グリーンアメニティ」という新たな価値を提案。オフィスや商業施設の植物による環境改善という専門性を高め、独自のポジションを確立して再生しました。

ニッチ市場での圧倒的な専門性の構築が成功要因でした。

7. イオン – 小売業の構造改革による再生

総合スーパーの苦戦が続く中、イオンは従来の総合スーパー業態からの脱却を図り、専門店事業や金融事業の強化、デジタル戦略の推進など、小売業の枠を超えた事業展開で再成長を遂げました。特に、地域密着型のショッピングモール展開と、アジア市場への積極進出が功を奏しています。

既存のビジネスモデルを根本から見直し、時代のニーズに合わせた構造改革を断行した点が特筆されます。

事業再生に成功した企業の共通点

1. リーダーシップの刷新

多くの再生事例では、危機的状況を打開するために新たな経営陣が就任しています。外部から招聘された経営者や、世代交代による若い経営者が、従来の慣習にとらわれない改革を断行できたことが再生の第一歩となりました。

2. 徹底したコスト削減と「選択と集中」

すべての成功事例に共通するのは、不採算事業からの撤退や経費削減などを徹底して行った点です。「何を捨てるか」の決断ができたことが、その後の成長への基盤となっています。

3. 顧客視点への回帰

再生企業は例外なく、自社の都合ではなく顧客のニーズを最優先する姿勢への転換を図っています。マーケットインの発想で事業を再構築し、顧客との関係を再構築することで信頼回復を実現しました。

4. デジタル技術の積極活用

近年の再生事例では、デジタル技術を活用した業務効率化やマーケティング強化が共通して見られます。従来のアナログな業務プロセスを根本から見直し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進した企業が復活を遂げています。

5. 組織文化の変革

単なる企業の論点的な立て直すだけでなく、企業文化の変革も事業再生の重要な要素です。 従業員の意識改革を見据え、危機を乗り越えるための新たな価値観を共有することが重要です。 成功事例では、トップダウンの改革だけでなく、ボトムアップの意見を尊重し、従業員が「自分ごと」として事

また、企業理念やビジョンの再定義を行い、従業員が共感できる明確な目標を問うことで、組織全体の士気向上につながったケースも多く見られます。 特に、企業再生は「何のために存在するのか」「どのような価値を提供すべきか」という原点回帰を重視し、社内外のステークホルダーと認識関係を再構築しています。

まとめ

経営危機を乗り越え、再生に成功した企業には共通する要素がある。新たなリーダーシップによる改革、選択と集中の徹底、顧客視点への変革、デジタル技術の活用、そして組織文化の変革といったポイントが、V字回復

企業は常に外部環境の変化にさらされていますが、経営が苦境に陥った際に、なんとなく柔軟に戦略を見直し、果敢に変革を進められるかが再生の鍵を握ります。

【監修者】ブルーリーフパートナーズ
代表取締役 小泉 誉幸

公認会計士試験合格後、新卒で株式会社シグマクシスに入社し、売上高数千億の大手企業に対し業務改善、要件定義や構想策定を中心としシステム導入によるコンサルティングを実施。その後、中堅中小企業の事業再生を主業務としているロングブラックパートナーズ株式会社にて財務DD、事業DD、再生計画の立案、損益改善施策検討に従事。ブルーリーフパートナーズ株式会社設立後は加え税理士法人含む全社の事業推進を実施。
・慶應義塾大学大学院商学研究科修了

事業が厳しいと感じたら、早めの決断が重要です。
最適な再生戦略を一緒に考え、実行に移しましょう。