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2025年03月03日

ADRで会社を救う!知っておくべき事業再生の新常識

事業再生

事業再生の選択肢として注目を集めているADR(事業再生実務協議会)による私的整理について、詳しく解説していきます。

経営危機に直面した企業にとって、ADRは法的整理に比べて多くのメリットがある事業再生手法です。特に、取引先との関係を維持しながら再建を目指せる点が大きな特徴となっています。

ADRのメリット

・法的整理と異なり、会社名が公表されない
・取引先との取引継続が可能
・金融機関との交渉がスムーズ
・再生計画の柔軟な策定が可能
・手続きが比較的短期間

ADR手続きの流れ

1. 事前相談と申請
まず事業再生実務協議会に相談し、ADR手続きの申請を行います。この段階で、会社の現状や再生の可能性について初期的な確認が行われます。

2. 一時停止の通知
債権者に対して債務の弁済を一時的に停止する通知を行います。これにより、再生計画を策定する時間的猶予が確保されます。

3. 再生計画案の作成
財務や事業の状況を詳細に分析し、実現可能性の高い再生計画を策定します。この際、公正中立な立場の専門家による支援を受けられます。

4. 債権者会議での協議
債権者との間で再生計画案について協議を行います。全債権者の同意を得ることが必要ですが、調停委員による専門的な助言も得られます。

ADR成功のポイント

・早期の着手が重要
・透明性の高い情報開示
・実現可能性の高い計画策定
・誠実な債権者対応
・専門家の適切な活用

事業再生の実務では、メインバンクとの関係が特に重要になります。メインバンクの支援が得られるかどうかが、再生の成否を大きく左右します。

また、ADRは再生計画の履行を通じて、事業価値の維持・向上を図ることができます。従業員の雇用も守られ、地域経済への悪影響も最小限に抑えられます。

経営危機に陥った際の対応として、次のような点に注意が必要です。

・危機の早期認識
・適切な専門家への相談
・社内体制の整備
・ステークホルダーとの適切なコミュニケーション
・実効性のある計画立案

 

ADRによる事業再生は、企業の存続可能性を高め、関係者全体にとってWin-Winの結果をもたらす可能性があります。経営危機に直面した際は、ADRという選択肢を真剣に検討する価値があるでしょう。

なお、ADR以外にも、中小企業再生支援協議会による支援や、地域経済活性化支援機構(REVIC)による支援など、様々な事業再生支援の仕組みが用意されています。状況に応じて最適な手法を選択することが重要です。

事業再生の成功には、経営者の強い意志と覚悟が不可欠です。同時に、専門家のサポートを適切に活用し、関係者との信頼関係を構築することが重要となります。

【監修者】ブルーリーフパートナーズ
代表取締役 小泉 誉幸

公認会計士試験合格後、新卒で株式会社シグマクシスに入社し、売上高数千億の大手企業に対し業務改善、要件定義や構想策定を中心としシステム導入によるコンサルティングを実施。その後、中堅中小企業の事業再生を主業務としているロングブラックパートナーズ株式会社にて財務DD、事業DD、再生計画の立案、損益改善施策検討に従事。ブルーリーフパートナーズ株式会社設立後は加え税理士法人含む全社の事業推進を実施。
・慶應義塾大学大学院商学研究科修了

事業が厳しいと感じたら、早めの決断が重要です。
最適な再生戦略を一緒に考え、実行に移しましょう。