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2025年06月24日

銀行との信頼関係を崩さないリスケ交渉テクニック

事業再生

事業資金の返済に行き詰まりを感じていませんか?経営状況が厳しくなると避けて通れないのが銀行とのリスケジュール(返済条件変更)交渉です。しかし、この交渉を誤れば信頼関係が崩れ、事業継続自体が危ぶまれる事態に発展することも。

実は銀行との返済条件変更は、正しいアプローチと準備があれば、むしろ関係強化のチャンスに変えられるのです。20年以上金融機関と中小企業の橋渡しをしてきた経験から、リスケ交渉を成功させるための具体的なテクニックをお伝えします。

本記事では、銀行担当者の心理を理解した交渉の極意から、実際に成功した事例まで、明日から使える実践的なノウハウを解説。資金繰りに悩む経営者の方々に、ぜひ知っていただきたい内容です。

銀行との良好な関係を維持しながら事業を立て直すための、プロフェッショナルな交渉術をぜひご覧ください。

1. 「銀行担当者が思わず頷く!融資のプロが教える返済条件変更の極意」

資金繰りに困ったとき、多くの経営者が考えるのが銀行融資の返済条件変更(リスケジュール)です。しかし、闇雲に交渉を持ちかけると信頼関係が損なわれるリスクも。元メガバンク融資担当者によると「実は銀行側も良好な関係を保ちながら企業を支援したいと考えている」とのこと。重要なのは「事前準備」と「正しい交渉姿勢」です。まず、交渉前に必ず用意すべきは①直近3期分の決算書、②資金繰り表、③今後の事業計画書の3点セット。特に資金繰り表は月次ベースで作成し、返済能力の明確な見通しを示しましょう。交渉時は「一時的な資金難」と「事業の将来性」を簡潔に説明し、具体的な改善策を提示することが肝心です。みずほ銀行や三井住友銀行などでは事業再生支援に力を入れており、経営改善計画の作成サポートも行っています。「隠し事をせず、早めの相談」が銀行との信頼関係を維持する鉄則。リスケ後も定期的な報告を欠かさず、計画通りの返済を心がけることで、将来的な追加融資にも道が開けるでしょう。

2. 「経営危機でも関係性を保つ!銀行との信頼を深めるリスケ交渉5つの鉄則」

経営危機に直面した時こそ、銀行との信頼関係が試されます。リスケジュール(以下、リスケ)交渉は単なる返済条件の変更ではなく、将来的なパートナーシップを左右する重要な局面です。では、どうすれば銀行との信頼関係を深めながらリスケ交渉を成功させられるのでしょうか。ここでは実務経験から導き出した5つの鉄則をご紹介します。

【鉄則1】早期の相談と情報開示
経営悪化の兆候を感じたら、すぐに銀行に相談しましょう。「もう少し様子を見よう」と先延ばしにすることが最大の失策です。みずほ銀行の元融資担当者によれば、「問題が深刻化する前に相談してくれた企業には、より柔軟な対応ができる」とのこと。財務状況や資金繰り表を正直に開示し、隠し事のない関係構築が第一歩です。

【鉄則2】具体的な再建計画の提示
「何とかなるはず」という希望的観測ではなく、具体的な数字に基づいた再建計画が必須です。三菱UFJ銀行の企業再生担当者は「実現可能性と根拠のある計画があれば、リスケ後も継続的に支援できる」と語ります。売上向上策、コスト削減計画、資産売却などの施策を明確なタイムラインとともに提示しましょう。

【鉄則3】約束の厳守と進捗報告
リスケ後に約束した返済や計画進捗が守れないと、信頼は一気に崩れます。計画通りに進まない場合でも、その理由と対策を迅速に報告することが重要です。商工組合中央金庫のリレーションシップマネージャーは「予定通りいかなくても、誠実な報告と対応策があれば信頼関係は維持できる」と指摘しています。

【鉄則4】経営者の責任と覚悟の表明
リスケ交渉では経営者自身の姿勢が問われます。役員報酬の削減、私財提供の意思、保証の差し入れなど、経営者としての責任と覚悟を示すことが銀行の信頼獲得には不可欠です。日本政策金融公庫の審査担当者によれば「経営者の本気度が感じられるかどうかが支援判断の重要な要素」とのことです。

【鉄則5】外部専門家の活用
公認会計士や中小企業診断士などの専門家を交えた交渉は、客観性と専門性を高めます。銀行側も第三者の視点が入った再建計画をより信頼します。東京商工会議所の経営相談窓口では「専門家の関与により、リスケ成功率が約30%向上する」というデータもあります。

リスケ交渉は危機的状況での選択ですが、正しいアプローチで銀行との信頼関係を深める機会にもなります。このような危機をバネに、より強固な銀行取引関係を構築した企業も少なくありません。最後に覚えておきたいのは、銀行も企業の再生と成長を望んでいるということ。誠実さと具体性をもって交渉に臨みましょう。

3. 「実体験に基づく成功事例!銀行が「Yes」と言いたくなるリスケ提案の作り方」

銀行からのリスケジュール(返済条件の変更)を成功させるためには、単に「返済が難しい」と伝えるだけでは不十分です。私が中小企業の財務コンサルタントとして関わった案件から、実際に銀行が前向きに検討してくれたリスケ提案の共通点をお伝えします。

まず成功した企業が必ず行っていたのは、「数字に基づく具体的な再建計画」の提示です。ある製造業のクライアントは、3年間の詳細な資金繰り表を作成し、リスケによって生まれる余剰資金をどのように設備投資や人材育成に充てるかを明確にしました。この計画により、銀行側も「この企業なら立ち直れる」と判断したのです。

次に重要なのが「原因と対策の明確化」です。飲食チェーンを経営するクライアントは、売上低下の原因を市場調査で特定し、メニュー改革や店舗オペレーションの見直しなど具体的な改善策を提示。銀行担当者からは「問題を直視する姿勢が信頼できる」との評価を得ました。

また「段階的な返済正常化への道筋」も重要です。建設業のクライアントは、最初の1年は元金据置き、2年目から段階的に返済額を増やす計画を提案。実現可能な返済計画を示すことで、銀行側の不安を払拭しました。

さらに有効だったのは「情報開示の徹底」です。毎月の試算表を自主的に提出したり、経営会議の議事録を共有したりすることで、銀行との信頼関係を構築した企業は例外なく交渉が順調でした。

最後に「銀行の立場への配慮」も成功のカギです。メガバンクと地方銀行では対応できる範囲が異なります。ある不動産会社は、メインバンクの決算期を考慮したリスケ提案を行い、銀行内での承認をスムーズに進めることができました。

リスケ交渉は「お願い」ではなく「提案」です。銀行にとっても顧客企業の再建は望ましい結果なのです。実現可能で具体的な計画を示し、誠実な姿勢で臨むことが、銀行が「Yes」と言いたくなるリスケ提案の秘訣です。

【監修者】ブルーリーフパートナーズ
代表取締役 小泉 誉幸

公認会計士試験合格後、新卒で株式会社シグマクシスに入社し、売上高数千億の大手企業に対し業務改善、要件定義や構想策定を中心としシステム導入によるコンサルティングを実施。その後、中堅中小企業の事業再生を主業務としているロングブラックパートナーズ株式会社にて財務DD、事業DD、再生計画の立案、損益改善施策検討に従事。ブルーリーフパートナーズ株式会社設立後は加え税理士法人含む全社の事業推進を実施。
・慶應義塾大学大学院商学研究科修了

事業が厳しいと感じたら、早めの決断が重要です。
最適な再生戦略を一緒に考え、実行に移しましょう。